【医師・技師監修】MRIの1.5Tと3Tの違いは?どちらが良い?特徴と使い分けを画像で解説
はじめに
MRI検査を受ける医療機関を探していると、「1.5T」や「3T」という言葉を目にすることがあります。
「3Tのほうが詳しく検査できるの?」「1.5Tで検査しても大丈夫?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
MRIは、強い磁場を利用して体の中の様子を画像にする検査です。1.5Tと3Tでは磁場の強さが異なり、それぞれに特徴があります。
3Tは、1.5Tより高い信号を得やすく、細かな構造を詳しく観察するための撮像などに有利です。一方で、磁場が強いことが、すべての検査で有利に働くわけではありません。
大切なのは、磁場強度の数字だけで判断するのではなく、検査する部位や目的に合わせて装置の特性を活かすことです。今回は、1.5Tと3Tの違いをわかりやすく解説するとともに、当院がどのようにこの2種類のMRIを使い分けているのかをご紹介します。

1 1.5Tと3Tは何が違う?
そもそも「T(テスラ)」とは?
T(テスラ)は、磁場の強さを表す単位です。1.5T MRIと3T MRIを比べると、3Tの磁場強度は1.5Tの約2倍です。
MRIでは、体内に多く存在する水素原子から得られる信号を利用して画像を作ります。一般に、磁場強度が強くなると、より高い信号雑音比(SNR)を得やすくなります。この特性を活かすことで、細かな構造を詳しく観察するための撮像や、撮像時間の短縮などに役立てられる場合があります。
ただし、磁場強度が2倍だからといって、画質や診断能力が単純に2倍になるわけではありません。
1.5Tを基準に見る、3T MRIの特性
| 項目 | 3T MRIの特性(1.5Tとの比較) |
|---|---|
| 磁場の強さ | 約2倍 |
| 信号雑音比(SNR) | より強い信号を得やすい |
| 画像の細かさ | 信号量を生かし細かな構造を描出しやすい |
| 撮像時間 | 条件によって短縮できる場合がある |
| 金属、空気、動きの影響 | 画像の乱れが強くなる場合がある |
| 磁場の均一性 | 不均一による影響が大きくなる場合がある |
| RF(高周波)による発熱 | 発熱や体内の温度上昇に、より注意が必要になる場合がある |
※上記の表は一部で、実際の画質や検査時間は、撮像方法、検査部位・目的、患者様の状態などによって異なります。
このように、3Tには信号を得やすいという利点がある一方、撮像条件を決める際に考慮すべき点もあります。では、こうした違いは、実際の検査でどのように関係するのでしょうか。
2 3Tのほうが優れてる?検査によって使い分ける理由
3T MRIは、信号量の多さを活かして細かな構造を詳しく観察するための撮像などに適しています。一方、磁場の均一性や体の動き、金属の影響(体内に金属がある場合は1.5Tが選ばれるケースが多い)なども考慮する必要があります。そのため、すべての検査で3Tが適しているとは限りません。
3Tの特性を生かしやすい検査
例えば、頭部血管のMRAや、整形外科領域の軟骨・靱帯など、細かな構造を詳しく観察したい検査では、3Tの高い信号量を活かせる場合があります。検査の目的に合わせて撮像条件を調整することで、必要な構造を詳しく観察するための画像を得やすくなります。

1.5Tの特性を生かしやすい検査
一方、腹部など、呼吸や臓器の動きが画像に影響する検査や撮像範囲の広い検査は、磁場の均一性や撮像条件などを考慮する必要があります。また、金属の近くを観察する検査などでは、画像の乱れが比較的少ない1.5Tが適している場合があります。検査する範囲や目的、患者様の状態も考慮し、適した装置と撮像条件を選ぶことが重要です。

当院では、1.5T MRIと3T MRIの両方を導入しています。検査を行う際には、磁場強度の数字だけで判断するのではなく、検査する部位や目的に応じて、それぞれの装置の特性を踏まえた選択を行っています。
細かな構造を詳しく観察したい検査では3Tの特性を活かし、呼吸などの動きや画像の均一性への配慮が必要な検査では、1.5Tの特性も考慮します。実際の装置選択は、検査内容や撮像条件などを踏まえて判断しています。
また、通常使用する装置の予約が埋まっている場合にも、別の装置で対応できるかを確認したうえで予約をご案内しています。
当院では、MRI検査の装置選択を予約の段階から行っています。
検査の目的や部位を確認し、1.5Tと3Tそれぞれの特性を踏まえて使用する装置を選択します。また、通常使用する装置の予約が埋まっている場合にも、もう一方の装置で対応できるかを確認したうえで予約をご案内しています。
検査当日は、選択した装置の特性に合わせて撮像条件を調整し、診断に必要な画像情報を得られるよう努めています。
このように、予約時の装置選択から検査時の撮像条件の調整まで、一連の流れを通じて適切な画像の提供を行っています。

4 装置選択だけじゃない、装置の性能を引き出す撮像技術
MRIの画像は、装置の磁場強度だけで決まるわけではありません。それぞれの装置の特性を理解し、撮像方法や撮像条件を適切に調整することも、診断に必要な画質を確保するうえで重要です。
当院では、1.5T MRIと3T MRIの両方を日常的に使用しており、診療放射線技師が培ってきた経験と専門知識を活かして、装置ごとの特性に応じた撮像条件の調整を行っています。
ここでは、同じ患者様の部位を1.5T MRIと3T MRIで撮像した画像をご紹介します。



3T MRIは高い信号を得やすいという特性がありますが、磁場強度が高いことだけで、必ずしも診断に適した画像が得られるわけではありません。
当院では、3Tの特性を活かすだけでなく、1.5Tでも撮像方法や撮像条件を工夫し、診断に必要な情報を十分に得られる画像の提供に努めています。
5 まとめ
当院では、装置の使い分けはご予約の段階から始まっています。最初の段階で1.5Tと3Tそれぞれの特性を踏まえて使用する装置を選択し、通常使用する装置の予約が埋まっている場合にも、もう一方の装置で対応できるかを確認したうえで予約をご案内しています。
検査当日は、診療放射線技師が装置の特性や検査の目的に応じて撮像条件を調整し、診断に必要な画像情報を得られるよう努めています。
さらに、画像診断専門医とリアルタイムに連携できることも、当院のMRI検査の強みです。 撮影中に得られた画像について専門医と連携し、必要に応じて追加撮像などを検討することで、診断に必要な情報をより適切に得られるよう取り組んでいます。
