CTやMRI検査を行う際にどういう人が造影剤に注意が必要ですか?
CT検査やMRI検査で用いる造影剤は、体の中を詳しく描出したり、病気を発見しやすくしたりするお薬です。造影剤は比較的安全なお薬ですが、下記の項目に該当する方は造影剤を使用する際に注意が必要ですので、必ず検査前に担当者に申し出てください。
- 過去に造影剤で副作用があった方
過去に造影剤で副作用があった方は、再び副作用が発生するリスクが高いので注意が必要です。十分に問診を行わせていただき、検査を行う理由や病態に応じて造影検査の可否を判断します。場合によっては造影剤の種類を変更することがあります。
- 気管支喘息やその他のアレルギー体質がある方
気管支喘息がある方は、副作用や喘息発作を誘発するリスクがあります。気管支喘息の治療状況、検査を行う理由や病態などを考慮して造影検査の可否を判断します。
- 腎機能低下がある方
腎機能低下がある方にCTで用いるヨード造影剤を使用すると造影剤腎症(更なる腎機能低下や腎不全)を来す可能性があります。腎機能低下の程度に応じて造影剤を減量したり、造影剤を早く体外へ排泄させるために検査後に点滴で水分を補うことが必要になる場合があります。MRIで用いるガドリニウム造影剤では、腎機能が著しく低下している場合には造影剤が体内に長く留まり、まれに腎性全身性線維化症(NSF)という重篤な副作用をきたす可能性があります。検査を受ける方の腎機能や検査を行う理由、病態に応じて造影剤の可否や使用する量を調整して検査を行います。
- 脱水状態の方
脱水状態で造影剤を使用すると急性の腎障害を起こすおそれがあります。CTやMRI検査前に飲水を制限をされていなければ水分は摂取していただいてかまいません。
- ビグアナイド系糖尿病薬を服用されている方
糖尿病の治療薬の一種であるビグアナイド系のお薬(メトグルコ、メタクト、エクメット、メトアナ、グリコラン、イニシンク、メトホルミン、ジベトス)はCT検査で用いるヨード造影剤との相性が悪く、併用により乳酸アシドーシスという重篤な副作用をきたすことがあります。CT検査で造影剤の使用を予定されている方は検査前の服用を一時的に中止する必要がありますので、担当医にご相談ください。
- 妊娠中の方
診断上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ検査を実施することとなります。当院では妊娠している方の造影剤を使用するCT、MRI検査は行っておりません。
- 授乳中の方
造影剤の種類によっては母乳へごく少量移行するため、場合によっては授乳を制限をしていただくことがあります。