膵がん(膵臓がん)を早期発見する方法はありますか?
膵がん(膵臓がん)は診断することが難しいため見つかった時点で手術ができないほど進行している場合が多く、早期に発見する方法はまだ分かっていません。膵がんをいかに小さく見つけて適切な治療に結び付けるかが重要になります。
膵がんを見つけるきっかけとなる症状や血液検査異常は?
膵がんを見つけるきっかけとなる自覚症状として腹痛、背部痛、黄疸、全身倦怠感、体重減少が多くみられます。また、血液検査では 腫瘍マーカー(CA19-9)が高い場合と膵酵素(アミラーゼ)が高い場合に膵がんが見つかることがあります。原因がわかっていない腹痛や背部痛、 全身倦怠感 、体重減少などの自覚症状がある場合や腫瘍マーカ (CA19-9) や膵酵素 (アミラーゼ) の血液検査異常を指摘されたことがある場合は、一度、膵がんを念頭に精密検査を行う必要があります。
膵がんはどういう人に多く見つかるの?
膵がんは高齢、 膵がんの家族歴、生活習慣(糖尿病、肥満)、嗜好歴(喫煙、飲酒)、膵疾患(慢性膵炎、膵嚢胞、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))がある人に多く見つかり、リスク因子として知られています。とくに新たに糖尿病と診断された方や、糖尿病の治療が薬で落ち着いていたのに急に血糖のコントロールが悪くなった方は要注意です。また、近親者に膵がんと診断された人数が多いほど膵がんのリスクが高いと言われています。膵がんを小さく見つけるには、膵がんのリスク因子を持つ方に対して画像検査を定期的に行うことが重要ではないかと考えられています。
膵がんを小さく見つけるための画像診断
膵がんを小さく見つける画像診断として、MRIを使ったMRCP検査と超音波内視鏡検査(EUS)が有力です。
健康診断などで行われる腹部超音波検査(腹部エコー)はお腹の表面から超音波をあてて観察するため、お腹の深いところにある膵臓は脂肪や腸管ガスの影響も受けて見えにくく、特に膵尾部(膵臓の左則)はきちんとした評価が難しい場合があります。
MRI検査は膵臓全体を把握することが可能であるため、膵臓のどの位置でも膵がんがないか評価することが可能です。また、MRI検査の際に行うMRCP(MR胆管膵管撮影)では膵管(膵臓で作られた膵液が通る管)を強調することができるので、膵がんのリスクである膵嚢胞やIPMNの診断、膵管の太さの異常(拡張や狭窄)を見つけることが可能です。これらの間接的な所見は小さな膵がんを見つけるきっかけになります。
一方、EUSには内視鏡先端に高解像度の超音波装置が内蔵されており、胃や十二指腸から直接膵臓を超音波で観察することができるため、お腹の表面から超音波をあてる腹部超音波検査(腹部エコー) より膵臓を詳細に観察することが可能です。
MRIを使ったMRCP検査で膵臓全体を把握し膵管を評価した後、EUSで異常な部位を重点的に観察することで、膵がんを小さく発見できるのではないかと考えられています。
当院ではMRIを使ったMRCP検査を積極的に行っております。
膵がんのリスク因子がある方や家族に膵がんがいるので心配という方は、一度MRCP検査を受けられてはいかがでしょうか。当院の上部腹部MRIドックは膵がんに加えて胆管がんや肝臓がんも評価することが可能です。ご希望の方は下記をご参照の上、「上腹部MRIドック」をご予約ください。