健康診断で便潜血検査が陽性といわれました。
便潜血検査とは
便潜血検査は大腸がんができていないか見つけるための一次スクリーニング検査です。採取した便の中に血液が混じっていないかを調べます。大腸癌や大腸ポリープができていると表面がこすれて肉眼的には認識できない程度の微量な出血を起こし便に血液が混ざります。便潜血検査はこの微量な血液を検出することで大腸癌や大腸ポリープができている可能性が高い人を見つけることができます。
便潜血検査の方法と結果の解釈
便潜血検査は通常、2日分の便を採取し微量な血液が混じっていないか検査を行います。2日分の便のうち少なくとも1つ陽性(便に血液が混じっている)であれば便潜血検査陽性と診断し精密検査が勧められます。2日分の検査のうち1つは陽性、もう一つは陰性の場合に(1日目陽性、2日目陰性 または1日目陰性、2日目陽性)、「一つは陰性だったのだから大丈夫ではないか」と判断する人がいますが、これは間違いです。大腸癌や大腸ポリープがあるのに見落としてしまう可能性があります。 また、便潜血陽性の結果をみて「どうせ痔だから陽性になっているだけ」と判断する人がいますが、これも間違いです。実は便潜血検査は痔の有無で影響を受けにくいと言われています。従って痔があろうとなかろうと便潜血検査陽性であれば精密検査を受ける必要があります。
便潜血検査が陽性で見つかる病気
便潜血検査が陽性の場合は精密検査として大腸内視鏡検査を必ず受けましょう。
便潜血陽性で見つかる主な疾患は「進行大腸癌」、「早期大腸癌」、「大腸ポリープ」、「大腸炎」などです。「進行大腸癌」や「早期大腸癌」 は命にかかわる病気ですし、大腸ポリープは放置すると大腸癌になることがあるので切除が必要です。でも便潜血検査陽性だからといって必ずしも大腸癌や大腸ポリープが見つかるわけではありません。便潜血検査陽性で大腸癌が見つかる確率は3.8%、大腸ポリープが見つかる確率は33%と報告されています1。
当院では日本消化器内視鏡学会の専門医が検査を行っています。便潜血検査陽性といわれた方で当院で大腸内視鏡検査をご希望の方は、下記をご参照の上、大腸内視鏡検査をご予約ください。
参考文献
- 日本消化器がん検診学会全国集計委員会.日消がん検診誌.2018;,56:1009-1053