魚介類の生食後に激しい悪心、嘔吐、腹痛はアニサキスが原因かもしれません
アニサキスとは
アニサキスとは寄生虫の一種です。アニサキスの成虫はイルカ, クジラ, オットセイなどの胃壁に寄生しており、成虫が生んだ虫卵が糞便とともに海中へ排出されます。海中で孵化・成長したアニサキスの幼虫がオキアミに摂取され、サバなどの魚介類などがそのオキアミを食べることで魚介類に移動し寄生します。アニサキスの幼虫が寄生した魚介類をヒトが食べるとアニサキス症を引き起こします。
アニサキス症の疫学
アニサキス症は刺身や寿司など海産魚介類の生食を嗜好する食習慣から本邦で多く発生します。年間7000件以上と推計されており季節性はないと言われています。アニサキスの魚介類への寄生はサバが多いといわれていますが 、ほかにもイカ、イワシ、アジ、タラ 、オオニベ、サンマ、オニオコゼ、キンメダイ、タチウオ、ニシン、アカムツ、ヒラメ、ブリ、ホッケ、マゴチ、マダラ、メジナ、ホッケなど多種類にわたります。アニサキスの魚海類への寄生は地域差があり主に北海道及び太平洋側に広く分布しているといわれています。
胃アニサキス症の症状と治療法
胃アニサキス症は、 海産魚介類の生食後1時間から半日以内に激しい悪心、嘔吐、上腹部痛を起こします。食事摂取歴などから胃アニサキス症が疑われた場合は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行い、虫体をみつけることで診断します。アニサキスの虫体を除去することで症状は速やかに消失します。
当院では胃アニサキス症を疑った場合に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行い アニサキスの診断と除去による治療が可能です。食事や症状で心当たりがある方はご相談ください。
予防法
予防法としては海産魚介類の生食を避けること、特に内臓の生食を避けることが重要です。60℃で1分以上加熱しアニサキスを死滅させるか、-20℃で24時間以上の冷凍によりアニサキスの感染力をなくすことで、アニサキス症を予防することができます。料理で使う程度の食酢による処理や塩漬け、醤油や山葵はアニサキスが死滅せず感染予防にはなりません。